()||9<黑屏1>0,10BGM_Empty: ()||260<黑屏2>GF_xGS2_27:私はヘンリエッタをゆっくりと椅子に寝かせてやった。+眠っている彼女はただこのままずっと守ってあげたいかわいい女の子そのものではあるが、私には果たさなければならない使命がある。+一つ目の「ヴィータ」のエンディングを見て、ここのルールをある程度理解した。+このデータベースにある「義体」たちのメンタルは、ずっと彼女たちの担当官を待ち続けている。しかしその担当官たちのアカウントは、もうずっと前からログインしていない。+そして私たちの人形は何かしらの原因でこのデータベースに迷い込んでしまい、「ヴィータ」の中で物語の登場人物に成り代わってしまった。+その物語たちも、また何かしらの原因で故障が起きて、物語のエンディングを迎えない限り、人形たちのメンタルはずっと閉じ込められているままだ。+これらの肝心なことさえわかれば、あとのことはなんとかなる。+なぜなら、これは悪意のある攻撃ではない。ここにいる彼女たちの夢を終わらせあげればそれでいいんだ。+正直言って、さっき知ったこれらの情報で、私も彼女たちを傷つけたくなくなってしまった。 ()指揮官||:カリン、私はそろそろ次の「ヴィータ」に向かうよ。 NPC-Kalin(0)カリーナ<通讯框>||:わかりました。では私はカノさんのメンタルの精密検査をしておきますね。 ()指揮官||:何か手掛かりを見つけたのか? NPC-Kalin(3)カリーナ<通讯框>||:「ヴィータ」の中で起きた出来事はちゃんと記憶に残っているようです。しかし、このデータベースに入ってきた時の記憶は全部消えています。+こちらでは、宿舎の中でピザを囲っているところまでしか確認できません。 ()指揮官||:……誰かに削除されたということか? NPC-Kalin(3)カリーナ<通讯框>||:人形には自分の記憶を削除する権限はありません。ということは可能性はひとつですね。 ()指揮官||:やはり、誰かがここを操作している? NPC-Kalin(3)カリーナ<通讯框>||:現在の状況から考えると、その可能性しかありませんね。 ()指揮官||:そうか……もしわざとそうしたのなら、その目的は何だろう?+今まで会った義体たちには動機が見当たらないよ。 NPC-Kalin(4)カリーナ<通讯框>||:そう訊かれましても……+私たちはこのデータベースに入ってきてからまだそんな時間が経っていません。きっとまだ発見できていない隠された事実があると思いますよ。+とにかく、引き続き調査して、別の手掛かりを探すしかありませんね。 ()指揮官||:頼んだぞ。 NPC-Kalin(0)カリーナ<通讯框>||:お任せください!+指揮官さまは次の「ヴィータ」に向かってください。もしかしたら新しい手掛かりがあるかもしれませんよ。早く調査が終われば、その分早く人形さんたちを連れて帰れますから。+もちろん、何か変なことがあったらいつでも呼んでくださいね。私はずっと指揮官さまの演技を見てますので。 ()指揮官||:……まったく。+じゃあ、いってくる。 ()||BGM_Empty<黑屏1>:私は身を起こした。ヘンリエッタはまだ静かに寝息を立てていた。 ()||<黑屏2>9GF_xGS2_16:彼女を起こしてしまわないように、なるべく物音を立てずに花園から抜け出した。+ヘンリエッタに信頼され、尊敬されるあの担当官を演じるのも思ったより骨が折れた。彼女の傍を離れているにもかかわらず、つい自分の言動に気を付けてしまう。+さっきそこから帰ってきた建物に目を向ける。前回ヘンリエッタと一緒に入った経験から、「ヴィータ」に入る際のコツもなんとなく分かっていた。+建物の中は相変わらず真っ暗で何も見えないが、何かが私を導いているのを本能的に感じる。+暗闇の中で私は目を閉じて進み、手探りであの見えない大きな門を見つけた。+前回のヘンリエッタと同じように、ゆっくりと門に入る。その時、何かを踏み越えたような感覚と同時に体がバランスを失い、一つの暗闇からまた別の暗闇へと墜ちていった。 ()||BGM_Empty<黑屏1>:空間と時間はまるで意味をなさない。//n今自分は落ちているのか、それとも昇っているのかすらよく分からない。そしてどれぐらいの時間が経ったのか、ようやく足元が地面を踏みしめる感覚が伝わってきた。 ()???||GF_xGS2_27:お客さま、大丈夫ですか? ()||:誰かが私を呼んでいる気がする。声が徐々にはっきり聞こえるようになり、段々と光も見えるようになってきた。+最後に周囲の景色がはっきりと描き出され、そこで、私はテーブルの前に座っていた。 ()???||:お客さま、聞こえてますか? ()||139<睁眼>:視界が光に包まれる。眩しさを感じて目を細めると、徐々に光に目が慣れてきた。+テーブルは窓の隣にあり、陽の光が屋根の端から私に降り注いでいた。+テーブルもガラス越しの光に照らされ、いくつかの光模様を映し出していた。+暖かさも感じられる、気持ちいい午後のようだった。 ()???||:お客さま、眠られているのですか? ()指揮官||:うん? ()||:ふと我に帰り、声がした方へと振り向くと、メイド服を着た少女が立っていた。金髪のショートヘアで、きれいな目をしている。 ()???||:お目覚めになりましたか?+何か御用はございますか? ()||:突然のことに驚きを隠せなかった。まさか、もう私の前に現れてくれるとは思っていなかった。+私は目を擦りながら、さっき見た資料を思い出し始める。+間違いない、今目の前にいるこの女の子こそ、私が探している義体だ。 ()指揮官||:リコ? ()||:驚きの余り、私は彼女を見た瞬間その名前を口にしていた。 Rico(2)リコ||:えっ? ()||:リコは少し困惑した様子を見せた。//nただそれでも、ウェイトレスとしての営業スマイルは崩さず私を見ている。+自分の言動にちょっと後悔した。初めて出会った女の子の名前を呼んだら、それは警戒されて当然だろう。 Rico(2)リコ||:あの、前に私と会ったことがおありですか? ()指揮官||:コホン……すまない。+少し寝ぼけていたようだ。+ここは? Rico(2)リコ||:ここはヴィラ・ガッディホテルですよ。ご気分が優れないようでしたら、お部屋までお連れしましょうか? ()指揮官||:大丈夫、少し眠かっただけだ。もう少しここにいさせてもらうよ。 Rico(2)リコ||:わかりました。+では、コーヒーをお持ちしましょうか? ()指揮官||:ああ、よろしく頼むよ。 ()||:リコは軽く会釈してから立ち去った。その間に、私も現状の整理をし始めた。+周囲を見渡す限り、ここは確かに高級なホテルのレストランのようだ。大きな扉の向こうにはホテルのカウンターが見える。+さっきのリコの反応から考えると、彼女はこの「ジャン」という名のアカウントに対して何の反応も示していない。+やはり前回のアンジェリカと同じように、義体としての記憶がわざと消されているのか?+もしこの部分を修正し、シナリオに従って物語を進めていければ、この「ヴィータ」の問題も解決できる、と思いたい。+ただ前回と違って、メンタルを奪われた人形はまだ姿を現していない。グリフィンの人形がこの物語にどんな影響をもたらすのかは分からないし、そもそもこの「ヴィータ」に閉じ込められたのは一体誰なんだ? ()||:考えながら窓の外を眺めていると、なんだか見慣れたやつと目が合ってしまった。 SPAS12(4)SPAS12||:ふふっ。 ()指揮官||:SPAS? ()||:私はすぐに彼女を追おうとしたが、リコが既にサービスワゴンを押して私の傍に来ていた。+そうして少し目を離した隙に、SPASの姿は消えてしまっていた。 Rico(2)リコ||:お客さま、コーヒーをお持ちしました。 ()指揮官||:いい香りだ。普通のコーヒーとは違う香りがするな。 Rico(2)リコ||:あ、気づかれましたか?+これは私が淹れたリストレットです。少し時間が掛かってしまって、申し訳ありません。+お客さまが眠そうに見えましたので、目を醒ましていただこうと思いまして。 ()指揮官||:そ……そうか?+ありがとう。頂くよ。 ()||:コーヒーの芳醇な香りが鼻を刺激する。一口含んでみると、そのコクのある苦みは意外にも懐かしい感覚を与えてくれた。そう、これはまるで学生時代の、好きな人と一緒に飲んだ初めてのコーヒーのような味だった。+コーヒーの暖かさはすぐに体の隅々まで回り、心身ともにリラックスしていく。もう何も考える必要はなく、何も悩む必要はない。このまま、ずっとこの暖かな陽の光と共に、このような幸せな午後を過ごせればいいと思うほどだった。+コップに少しのミルクを入れて、スプーンでかき混ぜてみた。するとミルクの泡がコップの中で回転し、コーヒーと一体となって融けていく。+リコも私のコーヒーカップを見ていたが、彼女の目は突然異様な輝きを帯びた。 ()指揮官||:このコーヒーがどうかしたのかい? Rico(2)リコ||:あ……いえ、何も。+なんだかこの光景が……本物のような気がしてならなくて。 ()指揮官||:本物? Rico(2)リコ||:お客さますみません、変なことを言ってしまって…… ()||:リコは私を見て、その後自分のつま先を見た。勇気をもって一歩を踏み出すかのように。 Rico(2)リコ||:あの、お客様にひとつ、お聞きしたいことがあります…… ()指揮官||:なにかな? Rico(2)リコ||:お客さまの名前は、「ジャン」さんですか? ()||:予想外の質問にまた驚いてしまった。まさか、このアカウントが誰なのかを知っているのか?+そうなると、彼女の記憶は消されていないことになる。なら、彼女はなぜここでウェイトレスを演じているのだろうか? Rico(2)リコ||:その表情は……私が言ったことは合っているのですね? ()指揮官||:その通りだ。鋭いな。 Rico(2)リコ||:やっぱりそうですか…… ()指揮官||:やっぱり? Rico(2)リコ||:今日、よく知っている人が現れるという予感がしたんです。以前もそうでした。この予感があると、しばらくしてそのことが起こるんですよ。+あなたがその、よく知っている人だと感じたんです。それになぜだかあなたの名前が「ジャン」さんのような気がして。+この感覚は、間違ってますか? ()指揮官||:ああ……+ジャンと呼んでくれてかまわないよ。 Rico(2)リコ||:やっぱり!+なら、ジャンさんが私の名前を知っていたのも、同じような予感があったから? ()指揮官||:……そうかもしれないね。+私も君を見た時、「リコ」だと思ったんだ。 Rico(2)リコ||:よ……良かった!+自分でも信じられなかったんです。だから、ずっと誰にも言えなかったんですよ。+まさか私と同じ人が他にもいるなんて。だからあなたに会った時、本物だという確信があったのでしょうか? ()指揮官||:君は思ったことが必ず起こる、と言っていたが、その予感は、予知能力みたいなものなのか? Rico(2)リコ||:違います……+私もはっきりとわからないんです。ただ、毎回何かを思うと、それが現実になるんです。+もし超能力的な言い方をするのなら、これは願いを叶える能力、なのかもしれません。 ()指揮官||:願いを叶える? Rico(2)リコ||:はい……私が考えたことが何でも、それが必ず現実になるんです。+でも、これは私の生活が凄く幸せだから、そんな錯覚をしているだけなのかもしれません。+それにあなたに会った時、どうしても、私がとても幸せで、今の生活を凄く気に入っている、ってことを話したくなったんです。+あ、ごめんなさい。ただのウェイトレスがいきなりこんな話をして、驚かせてしまいましたよね? ()指揮官||:いや、話したいのなら思い存分話せばいいと思うよ。 Rico(2)リコ||:ジャンさんは優しいですね……この優しい感じも懐かしい……+ごめんなさい、自分自身でもこの話は変だって思うんです。でもジャンさんは絶対わかってくれる、っていう感覚もあるんです。 ()指揮官||:なぜ、「ジャン」なら理解してくれると思ったんだい? Rico(2)リコ||:わかりません……なぜあなたの名前を知っているのかと同じぐらい、わからないんです。+もしかしたら、私の今の生活をあなたに話せば、私の疑問が解けるかもしれません。聞いてくれますか? ()指揮官||:ああ、よかったら聞かせてくれないかな。 Rico(2)リコ||:わ……わかりました!+えっと……普段は学校に通っています。水曜日と金曜日の午後は宅配のアルバイトをしています。荷物の仕分けをしているおじさんは、いつも私には小さめの荷物を渡してくれるんです。私の身体が小さいから、大きいと大変だと思ってくれているみたいで。 ()指揮官||:いいおじさんなんだね。 Rico(2)リコ||:はい。だからたまに私が焼いたクッキーをあげるんです。その時のおじさんはとても嬉しそうに笑ってくれるんですよ。 ()指揮官||:そのおじさんが羨ましいぐらいだよ。 Rico(2)リコ||:ふふっ……アルバイトが終わると、音楽教室の先生にバイオリンを習いにいきます。フェッロ先生は凄く厳しいけど、でも私には才能があるから努力するように、って言ってくれるんです。+週末はこのホテルでアルバイトをしています。朝起きたらママのたまごサンドを食べるんですよ。学校とは全く逆の方向だから、まずは西に行ってテヴェレ川に掛かる橋を渡るんです。+その橋は長いけど、橋の上からサンタ・チェチーリア教会が見えるんですよ。+あの教会を見ると体がぞわぞわっとしちゃうんです! ()指揮官||:芸術の才能を持っているんじゃないかな? Rico(2)リコ||:そうなのですか?+橋を渡り終えて川の一番近くのバス停でバスに乗ります。十数分でここに着くんですよ。+私、初めてここに来た時は本当に緊張したんです。こんな高級なホテルだから……+でも仕事をし始めてから、マネージャーは良くしてくれるし、一緒に働いている先輩たちもいい人たちばかり。たまに仕事終わりに、高級な食材をくれたりもするんですよ。 ()指揮官||:なるほど、それもいいことじゃないか。 Rico(2)リコ||:確かに……全てがいいことばかりです。+でも、これも全てが私が想像した通りに起こったことなんです。困ったことがあったら、必ず誰かが助けに来てくれます。+私が欲しいものはどんなものでも、しばらくすると何の苦労もなく手に入るんです。 ()指揮官||:それは本当に羨ましい生活だ。 Rico(2)リコ||:でも、こんな生活は幸せすぎます。幸せすぎて現実感がありません。+たまに心配になるんです。こんな幸せな生活は私のものじゃなくて、ここで起こった出来事はただの夢だったら。+夢が醒めたら全部なくなってしまうんじゃないかって。 ()指揮官||:…… Rico(2)リコ||:だから、自分がこんな生活を送る資格が本当にあるのかわからないんです。+ジャンさん、私が本当にこんな生活を送っていていいと思いますか? ()指揮官||:うーん……確かに君と同じ年代の普通の子供と比べると恵まれているとは思う。+でも、それは君が周りの人たちに愛されているからじゃないかな? Rico(2)リコ||:そうですかね……いつもこの不安に襲われた時、みんな考えすぎだって言うんです。ただの普通の生活だよ、って。+でも、やっぱり本物だという感覚がないんです。 ()指揮官||:普通の生活こそが最も大切なものなんだよ。子供の頃は気づかないけど、大人になると身に染みて分かる。あの頃の幸せはもう取り戻せない、とね。+普通こそが大切だと気付いたのなら、君はそれだけ賢いということだ。 Rico(2)リコ||:でも少し違うんです……なんか、妙に怖いというか……+私が見ている全てがウソで、ある日突然全てが失われてしまう、それが怖いんです。+とても虚しくて、恐怖を感じるんです。でも、私は今の幸せを失いたくない…… ()指揮官||:大丈夫だ。君はずっと幸せに暮らしていけるさ。 Rico(2)リコ||:本当ですか?+この幸せに真実味が足りなくても? ()指揮官||:自分で言ってただろう?今の幸せを失いたくないって。 Rico(2)リコ||:は……はい!ジャンさんがそう言うなら、絶対そうなんですね。安心しました。 ()||:…… ()||:彼女は軽くお辞儀をすると、ワゴンを押して去っていった。+その背中を見送った後、またコーヒーの独特な香りを嗅いだ。+これは確かに唯一無二の幸せの香りだ。もしかしたら、幸せな少女にだけこの香りを作り出せるのかもしれない。+幸せな彼女を見ることができた。これは一瞬かもしれないが、私はとても満足していた。 ()||:しかし、まだ問題は解決していない。任務に戻らなくてはならない。 ()指揮官||:カリン、聞こえる? NPC-Kalin(0)カリーナ<通讯框>||:はい、聞こえてますよ、指揮官さま。 ()指揮官||:さっきの話は聞いた? NPC-Kalin(3)カリーナ<通讯框>||:はい……あの子は資料にあったリコと全然違いますね。+もし彼女が健康な体に生まれていたら、こんな幸せな生活を送っていたのでしょうか? ()指揮官||:そんなもしもの話をしても虚しいだけだよ。今の私たちにできるのは、降りかかってくる不幸を払って、できる限り幸せに生きることだ。 NPC-Kalin(3)カリーナ<通讯框>||:そうですね……もし私たちがこの世界をもっと良くすることができたら、私たちだけじゃなくて、未来の子供たちももっと幸せになれるかもしれません。 ()指揮官||:だからこそ、早く人形たちを取り戻さないとね。+それよりさっき、SPASが窓の外から私を見ていたんだけど、気づいたか? NPC-Kalin(4)カリーナ<通讯框>||:えっ、そうですか?全然気づきませんでしたよ。 ()指揮官||:私の見間違いか……+でもリコ以外にも、いくつか変なところがあったでしょ? NPC-Kalin(3)カリーナ<通讯框>||:はい……窓の外はずっと同じ車、同じ通行人でした。普通に動いているように見えますが、よく観察してみると実は同じ行動を繰り返しているだけです。 ()指揮官||:もっと遠くだと人影すらないね。 NPC-Kalin(0)カリーナ<通讯框>||:はい………多分、このスペースはまだ完成されていないと思います。ここで動いている物体は全てリコさんがさっき話していたルートの上にあって、まるで彼女の記憶を投影しているみたい。+今ここにあるのは全部ただの視覚シミュレーションで、ここはセカンダリレベルにあるシミュレーション空間というよりは、誰かの夢、みたいな……? ()指揮官||:夢か……ということは、私たちはまだ「リコ」の「ヴィータ」に入ってないってことか。 NPC-Kalin(0)カリーナ<通讯框>||:さっきこのスペースを調査してみました……調査結果は、指揮官さまがいるスペースは「ヴィータ」内でさらにシミュレートされたもののようです。 ()指揮官||:さらにシミュレート?何か違うの? NPC-Kalin(3)カリーナ<通讯框>||:フライドチキンの看板を掲げたハンバーガー屋さんみたいな感じですね。どっちもファーストフードには変わりないですけど、見た目と中身が全然違うという感じです。 ()指揮官||:その喩えは分かりやすいね…… NPC-Kalin(3)カリーナ<通讯框>||:でも……このスペースのシミュレートはこちらから解除できそうですよ。 ()指揮官||:あれ?規定のルールは外から干渉できないんじゃなかったの? NPC-Kalin(0)カリーナ<通讯框>||:理論上はそうですが、その場所は「ヴィータ」の権限者が作ったものじゃないようです……どうも、私たちの人形のメンタル演算によって形成されているようですね。 ()指揮官||:ということは、ここは人形の演算力でシミュレートされているってこと? NPC-Kalin(3)カリーナ<通讯框>||:はい、全てがシミュレーションです。+ですので、指揮官さまの会ったリコが、本当のリコさんなのかどうかも疑わしいですね。 ()指揮官||:本当のリコじゃない? NPC-Kalin(3)カリーナ<通讯框>||:外見が全く同じでも、同じ人とは限りません。先ほどの彼女と資料にあるリコの性格の違いはとても大きいですからね。+このスペースがシミュレーションなら、さっきのリコもシミュレートされたものの可能性も高いです。 ()指揮官||:そうか…… NPC-Kalin(0)カリーナ<通讯框>||:あくまで夢を見ているだけですね。+この「ヴィータ」の中にいるリコさんは、人形の演算力を利用して、公社の彼女とまったく別の生活を送っているようです。 ()指揮官||:……だからリコは「リコ」に最も幸せな生活を送らせている。+これでさっきの「リコ」の疑問も解消できる。 NPC-Kalin(6)カリーナ<通讯框>||:できることなら、私もこんな夢を見たいですね…… ()指揮官||:白昼夢に浸るのはよそう。それより、なにか方法はありそう? NPC-Kalin(3)カリーナ<通讯框>||:全く……指揮官さまはせっかちですね。+方法ならすでに考えてあります。こちらから人形の演算サポートをオフにするのです。+演算サポートがなくなれば、このシミュレーションもすぐなくなるはずです。 ()指揮官||:なくなる、か……なら彼女が目覚めたら、相当がっかりするかもね。 NPC-Kalin(4)カリーナ<通讯框>||:指揮官さま……それは考えすぎです。+ここの全てはシミュレートされてできたものです。たとえ義体のメンタルを傷つけない方法で解決したとしても、同情したことにはなりえません。+いくら情けをかけても、結局人形たちを連れてここから離れたら、このスペースは消えてなくなってしまうのですから。 ()指揮官||:わかってるよ……ありがとう。 ()||:カリーナのことは見えていないが、それでもつい頷いていた。+あの幸せなリコは、できることなら消し去りたくはない。+しかし同時に思い出していた、ニセモノはやっぱりニセモノだ。シミュレートされた幸せなど、錯覚に過ぎない。 ()指揮官||:カリン、やってくれ。 NPC-Kalin(4)カリーナ<通讯框>||<黑屏1>:はい。 ()||<黑屏2>9BGM_Empty:カリーナの合図とともに、周囲の環境は瞬時に変化し始めた。+あの見えない門を潜った時と同じように、周りは暗闇に包まれ、自分の体はバランスを失い、どこまでも落ちていくような感覚がした。私は今、あの暖かくて幸せな世界から離れようとしている。+しかし、なぜか今回の落下は異常に長く感じて、まるで丸一日過ぎてしまったような、或いはもうずっとこのままこの暗闇にいてしまうかもしれないという感覚に襲われた時―― ()||:ドン!! ()||Gunfight<黑屏1>:したたかに地面に叩きつけられたかのように、全身が激痛に襲われた。+まだ何も見えない。//nただ、少女の声でなく、鋭い声とけたたましい銃声が聞こえてくる。