()||9<黑屏1>0,10黑屏1>BGM_Empty:
()||82<黑屏2>GF_Memorial:……深夜のグリフィン基地。+人形宿舎内にて。
()||:AA-12は机に俯せてじーっとラジオを見つめながら、何か独り言を言っていた。
AA12(0)AA12||<黑点1>:一応訊いてみるか……あんまり行きたくはないけど、行かないわけにもいかないし……+とはいえ、私が返事をする時には、あいつはもう寝てるんだろうな。
()||<黑点2>:……3時間前。
()||:トン、トン。
()||:ドアを二回ノックすると、AA-12はすぐドアを開けて頭だけを出してきた。+目が合った時、彼女はなんだか……一瞬だけ固まったように思えた。
指挥官()指揮官||:夜遅くにごめんね。+あの、AA-12、今度みんなでバカンスに行く予定なんだけど、君も一緒に行くことになってるよ。
AA12(0)AA12||:……おう。
AA12(0)指揮官||:だからその、君も、来てくれるよね……?
AA12(0)AA12||:……海にバカンスへ?
AA12(0)指揮官||:そうだよ。+君はまだグリフィンに来たばかりだから、みんなと一緒に遊んでみるのもお互い仲良くなるチャンスでしょ?+そうすれば今後任務とかで一緒になった時も……ね?
AA12(0)AA12||:……+あ……後で返事をしてもいい?
AA12(0)指揮官||:後で?いいよ。+じゃあ、待ってるからね。
()||<闪屏>5闪屏><黑点1>:話が終わった途端、ドアはすぐ閉められた。+別に門前払いを喰らったわけでもないけど……この新しい同僚はどうやら本当に私と喋りたくないらしい。+果たして一緒に海へ行ってくれるのかどうか……
()||<黑点2>:……そして今。
()||:AA-12は相変わらず机に俯せてじーとラジオを見つめていた。
AA12(0)AA12||:うん、もうすぐ始まる。
()||:まるで時間が止まったかのように部屋の中が静かになった。+AA-12はそのままの姿勢で、数分が経った後――+音楽が流れ始めた。
NPC-Kalin(0)ラジオのカリン<通讯框>||:今日もあなたの心を聞かせて、電波で繋がるみんなの思い☆+皆さんお待たせ!今夜もいっぱい、皆さんから日常のお悩みが届いていますね!+でも、こういうことがあるからこそ、皆さんが大好きなラジオパーソナリティ・カリンがここにいられるんです!今日もいっぱい、皆さんのお悩みを解決していきましょう♪
AA12(0)AA12||:ああそうだ、メッセージを入力して……+これとこれとこれ……うん、これでいいかな?+よし、送信!
NPC-Kalin(0)ラジオのカリン<通讯框>||:さて、それでは皆さんからのお便りを読んでいきますよ。一人目は誰からかな?+はい、では今日送られてきた最初のお便りです【どうやら私はもう飼育員の中で一番じゃなくなってるみたい、どうしよう?】……+うーん、このお悩みはですね……
AA12(0)AA12||:クソ、なんで私が一人目じゃないんだよ。+眠いし、早く私の番になって早く私の番になって早く早く早く……
NPC-Kalin(3)ラジオのカリン<通讯框>||:……というわけなので、こういう時はまず一人で思い詰めないのが一番大事ですね。
NPC-Kalin(7)ラジオのカリン||:カリンだって毎日毎日、報告書を書いたりデータ分析をして、どうして毎日こんな大量に溜まるのかもよく分からないですけど、それでもカリンは変わらず指揮官にとっての一番ですよ。
NPC-Kalin(0)ラジオのカリン||:さて、次のお悩みにいきましょう……【入職したばかりの者です。他の同僚と一緒に海にバカンスへ行こうと上司から誘われました。善意であるのも分かっていますが、ちゃんと応じるべきなのでしょうか?】
AA12(0)AA12||:カリンさん!助けて!
NPC-Kalin(0)ラジオのカリン<通讯框>||:このリスナーさんの方が今ラジオの前にいるかどうかわかりませんが、一つだけ言わせてください――
NPC-Kalin(1)ラジオのカリン||:もちろん応じてあげるべきです!!+海でのバカンスですよ!まだ入職したばかり新人でも誘われるということは、あなたの上司はとてもいい人です。少なくとも、部下のことを労ってくれて、より良い人間関係を築いてほしいと考えてくれてるということですよ。
NPC-Kalin(6)ラジオのカリン||:リスナーさん、正直カリンは羨ましいですよ!カリンだって海へバカンスに行きたいのに!
AA12(0)AA12||:あ、カリンさんは行くべきって言った……+じゃあ今すぐ指揮官に――
AA12(0)||:AA-12は立ち上がって部屋を出ようとしたが、またすぐ足を止めてとても難しい表情になった。
AA12(0)AA12||:でもこんなに遅いし、きっともう寝ている……+しかもなんで私がこんなに気にしなくちゃいけないの……?
NPC-Kalin(0)ラジオのカリン<通讯框>||:……では次のリスナーさんからのお悩みです。+【新しく来た部下が冷たいです、そうすればいいと思いますか?一応海に行こうって誘いましたけど、それもあんまり興に乗らないようで】……
NPC-Kalin(7)ラジオのカリン||:まぁ夏ですしね、みんな海の話をしたくなりますよね。
()||:AA-12は急いでラジオの前に戻った。
AA12(0)AA12||:あれ、このお便りって……
NPC-Kalin(3)ラジオのカリン<通讯框>||<黑屏1>:……こういうことはまず事前の確認が大事ですよ?+新人なのですから、ただの人見知りか照れているだけなのかもしれません。
()||<黑屏2>:……+ラジオのパーソナリティはまたいくつかのお便りを読み上げた。AA-12は座ってすぐメッセージの入力を始め、送信ボタンを押すとまた非常に複雑な表情でラジオを見つめた。
NPC-Kalin(0)ラジオのカリン<通讯框>||:……はい、それでは次のお悩みは――
NPC-Kalin(1)ラジオのカリン||<黑屏1>:おほほほ……【上司に冷たいと誤解されていたようですが、私はただ他の人と話すのが苦手なだけです。誤解を解くためにも、一緒に海へ行くことにします。】……+どうやらさっきのお便りの続きのようですね、最近の職場ってこんなに誤解が多いのかしら……
NPC-Kalin(1)ラジオのカリン<通讯框>||<黑屏2><黑屏1>:……ではでは、また面白いお便りが来ていますよ。+【新人の子が一緒に海へ行ってくれることになったよ!これで新しいお友達を作れるといいな!しかもわざと冷たくしていたわけでもないことが分かった!本当に助かったよ!】……+あははははは、誤解が解けて本当に良かったですね、カリンも海に行きたいですよ……
()||<黑屏2>:……かれこれ30分後。
NPC-Kalin(1)ラジオのカリン<通讯框>||<黑屏1>:というわけで、今日のお便りは以上でした。+まぁ、海に行く話をしていた二人のリスナーさんが一体誰だったのかはま・っ・た・くわかりませんでしたけど、深夜ラジオで【よろしくお願いします】とか【こちらこそよろしくお願いします!】みたいなメッセージを送り合うよりも、ちゃんと面と向かって話してほしいなぁ、とカリンさんは思っていますよ♪……
()||9<黑屏2><黑屏1>BGM_Empty:……+次の日。
()||162<黑屏2>BGM_Hello:AA-12が我に返ると、自分はすでに水着に着替え、騒がしい他の人形たちと一緒に炎天下のビーチにいた。
AA12(2)AA12||:なんで……こうなっているの……+ヤバイ、眩しい、それに長い時間猫を被りすぎて気持ち悪い……+ぐぇ、しかもこんな水着を着て……
()||:それぞれグループを作って行動する他の人形たちを見て、AA-12は溜息を吐く。+そしてビーチとは正反対の方向へ歩き出し、パラソルを何本か差してみんなの視線と太陽の光を避けようとした。
AA12(2)AA12||:先に傘を用意しておいてよかった……とりあえずこいつらで何とかするか。+……ん?
()||:突然、AA-12は何者かの鋭い視線に気がついた。+片手でパラソルの柄を掴み、もう片方の手でこっそり銃を握った。そして一気に振り返ると――+近くのヤシの木の下で、一人の小柄な人形が顔を半分だけ出して自分を見つめていた。
AA12(2)AA12||:……
Ameli(4)Ameli||:……!
()||:一瞬固まった後、AA-12は気づかなかった振りをして、こっそり銃から手を放し、パラソルを刺す作業に戻った。
AA12(2)AA12||:(しまった、こういう時ってなんか挨拶をした方がいいんじゃ……)
()||:AmeliもどうやらAA-12が自分を追い払うつもりはないと見て、AA-12に近づく。
Ameli(4)Ameli||:あ、あの、こんにちは!
()||:AA-12はビクッとして、ガクガクとAmeliの方へ振りむく。
Ameli(4)Ameli||:あの、ワタシはAmeliです……+あなたが新入りの人ですね?基地にいる時はあんまり話しかけられなくて……
Ameli(4);AA12(2)AA12||:……どうも、AA-12です。
Ameli(4)Ameli;AA12(2)||:AA-12さんは一人ですか?+みんなあっちでバレーをやってますけど、参加してみますか?
Ameli(4);AA12(2)||:
()||:AA-12に話しかけるAmeliの大きな瞳には、何かの光が宿っている様子だった。+それを察して、AA-12はまた少し身震いをした。
Ameli(4);AA12(2)AA12||:(ラジオが教えてくれた社交辞令ってなんだったっけ?早く思い出せよ自分!)+あ、大丈夫です……+そういうのあんまり好きじゃないから。
Ameli(4)Ameli;AA12(2)||:そう……
Ameli(4);AA12(2)AA12||:(まずい!なんか間違ったことでも言ったか!急に落ち込んだみたいだぞ!)
Ameli(4)Ameli;AA12(2)||:分かった!AA-12さんはここで日除けしたいのですね?+そういえば海って本当に資料に書いてあったように暑くて、ワタシも初めて来て本当にビックリしましたよ……
Ameli(4);AA12(2)AA12||:そ、そうだね。
Ameli(4)Ameli;AA12(2)||:あの……一緒に傘を立ててもいいですか?+AA-12さん、傘をいっぱい持ってきて大変みたいで……
Ameli(4);AA12(2)AA12||:も、もちろんいいよ。
Ameli(4)Ameli||:本当に?!よかった!
()||:少々気まずい感じもしたが、Ameliが嬉しそうな様子だったので、AA-12もAmeliの好きなようにやらせることにした。+そしてAmeliが手伝ってくれたおかげて、パラソルも意外と早く立てることができた。+三つの巨大なパラソルが全方位からの日差しを遮断し、AA-12はその真ん中でゆっくりとくつろげるようになった。+これもまた一つ、社交辞令が必要な場面なんだろう。
AA12(2)AA12||:……うん、ほんとにありがとう。
Ameli(4)Ameli;AA12(2)||:いえいえ、そんなこと言わないでください!同じ基地の仲間ですから、これぐらいは!
Ameli(4);AA12(2)AA12||:(えーと、こういう時はなんて答えるんだっけ……?)+同じ基地……お、そ、そうね、仲間だよね。+仲間のAmeliに、感謝……?
Ameli(4)Ameli;AA12(2)||:仲間……友達……
Ameli(4);AA12(2)||:
()||:何かの社交辞令でこの会話を終わらせるべきなのではないかとAA-12が迷っている中、Ameliはポケットから何かを取り出し期待に満ちた表情でAA-12に渡した。
Ameli(4);AA12(2)AA12||:……え?これは?
Ameli(4)Ameli;AA12(2)||:ボタンです!う、受け取ってください!
Ameli(4);AA12(2)AA12||:……はぁ?お、おう……
Ameli(4)Ameli;AA12(2)||:じゃあAA-12さん、ワタシは先に指揮官のところに行きますね!+またあとで!
AA12(2)AA12||:……またね。
()||:Ameliは嬉しそうに走っていったが、なぜか何もない砂浜の上で転んだ。AA-12はその姿を見て、また非常に不可解な表情で視線を手元にあるボタンに戻した。
AA12(2)AA12||:これはどういうこと?このボタンはどういう意味?私ちゃんと会話できていたのか……?+ああ面倒くさい……やっぱこのまま夜まで座っていよう……暑いし、眩しいし、誰かと話すの疲れるし……+ぐぇ、あんな真面目そうな自分なんかキモい……
()||<黑屏1>:頭の中で渦巻く数々の疑問を放り出し、AA-12はビーチチェアに思いっきり倒れ込んだ。+これでようやく太陽のない清々とした時間を楽しめると思いきや、遠くから浮き輪を抱えて近づいてくる赤いやつがいるような……
()||9<黑屏2><黑屏1>BGM_Empty:……+その日の夜。
()||162<黑屏2>BGM_Moon:AA-12が我に返った時には、自分はすでにあの赤い人形と喧嘩をして、そして糖分を補給してキャンプファイヤーの会場にいた。
AA12(2)AA12||:なんで……こうなっているの……+ここはどこ……私は誰……一体何をしている……
()||:AA-12がぼーっとしていたところに、指揮官がやってきた。
指挥官()指揮官||:よっ、AA-12。
AA12(2)AA12||:……指揮官か。
AA12(2)指揮官||:どうだ、この海は?
AA12(2)AA12||:……聞き方がダサいよ、指揮官。+それに、ビーチの上から海を見るのって、基地の高所から外の廃墟を見るのとそんなに変わりないよ。
AA12(2)指揮官||:そんなに荒んだ光景だったのか。
AA12(2)AA12||:……そうよ。
AA12(2)指揮官||:私たちがいるから、この海も、グリフィンの基地も、そんなに荒んでいるように感じないはずだと思ったけどね。
AA12(2)AA12||:……
AA12(2)指揮官||:君たちがいるからこそ、私は毎日楽しく感じているよ。
AA12(2)AA12||:……別にそんなこと訊いてないよ、指揮官。
AA12(2)指揮官||:私も独り言を聞かれても気にしないよ。+みんなそれぞれ独立した存在とはいえ、みんなが一緒にいる場所とみんなのいない場所では、大きく違うものでしょ?+だから、君がグリフィンに来てくれたことには感謝しているし、ここでたくさん良いものを得てほしい。
AA12(2)AA12||:良いものって……あんな廃墟だらけのところにあるの?
AA12(2)指揮官||:良いものは必ず実体が伴うとは限らない。人々に創られた概念として、この荒んだ世界を凌駕するものだってある。
()||:AA-12は暫く言葉が出なかった。だんだんと伝わってきたのは、手のひらにあるボダンの感触と、口の中に僅かに残った飴のしょっぱい味だった。
指挥官()指揮官||:今度また機会があったら、みんなで一緒に海に来ようか?
AA12(2)AA12||<黑屏1>:……+それは、基地に帰った後で返事するから。
AA12(2)AA12||9<黑屏2><黑屏1>:(ボタンとか友達とか良いものとか……なんか面倒くさい……でも……)+ (帰ったらまずちゃんとカリンさんに訊いてみよう!)+(うん、今度こそ先にメッセージを書いて、絶対一番最初にお便りを読んでもらおう!)