()||9BGM_Empty<黑屏1>0,10黑屏1>:
()||8黑屏2>:……グリフィン司令室にて。
()||BGM_Room:日常の哨戒任務を終えた後、小隊の人形たちはそれぞれの所に帰り、装備のメンテナンスや休憩に入った。
()||:その中でMP7だけが、印刷された任務記録を持って司令室へ報告しに向かった。
MP7(0)Gr MP7||:おい!飼育員!任務完了したよ!+……いないのか?
()||:司令室には誰もおらず、ただ机の上に報告書が山のように無造作に積まれていた。
MP7(0)Gr MP7||:飼育員もますますだらしなくなってるな!たまにはこの天才を心配させないよう自覚してくれよ。+うん、そうそう、報告書は机の上にこう置くべきだ……
MP7(0)Gr MP7||:……ん?なにこれ?
()||:MP7が任務報告書を机に置いて離れようとした時、机の上に置いてあった処理中のファイルに目を惹かれた。+そのファイルにはMP7の写真やプロフィールが載ってあり、そして……+……赤いペンで一行の評価が書かれていた。
MP7(0)Gr MP7||:成績優秀、第一回社員旅行への優先参加を許可……注――戦闘貢献第二位。
MP7(0)Gr MP7||<黑屏1>:……第、二位???!!!
()||BGM_Empty<黑屏2>162:まるで事前にクリスマスのプレゼントを知った子供のように、MP7は先に自分へのご褒美を知ったところで何一つ喜ぶことはなかった。+代わりに、MP7はずっと不快な表情をしていた。+飛行機に乗る前から、そして今海に着いてもなお、MP7はずっと眉間にしわを寄せて、全身から負のオーラを出し続けていた。+……あのAA-12さえも、そんな彼女と一緒に座ることを嫌がった。
MP7(2)||:MP7はビーチの上を歩き回った。水着に着替えて浮き輪まで用意したけど、ずっと砂を蹴っていて海に入る気はまったくない様子だった。
MP7(2)指揮官||BGM_Hello:指揮官としての勘で分かる。MP7は多分、泳げない。+どうだ?もしかして先生が欲しいのか?私でもいいぞ。
MP7(2)Gr MP7||:飼育員の冗談もますます下手になってるよ。
MP7(2)指揮官||:面白くなかったらなおさら練習してセンスを磨かないとね。+なんかずっと不機嫌そうな顔をしているけど、嫌なことでもあったの?
MP7(2)Gr MP7||:私はただ……悔しい!悔しいの!
MP7(2)||Rope:MP7は両手を握りしめて、微かに震えていた。
MP7(2)Gr MP7||:天才の私だってちゃんと頑張ってるのに、それで……二位だなんて……こんなの……+飼育員!きっと何かの間違いでしょ!
MP7(2)指揮官||:(まずい、ランキングを見られたのか……本当は隠そうと思っていたけど……)
MP7(2)指揮官||:コホン、その、MP7も私の執務室に潜入することを覚えたのかい?+それはいい子がすることではないぞ。
MP7(2)Gr MP7||:ち、違うし!飼育員の部屋がだらしないから、整理しようと思ったらつい目に入っちゃって……
MP7(2)指揮官||:ははっ!+やっぱり私の執務室に侵入したんだね?
MP7(2)Gr MP7||:な、そそそそんなこと言ってないし……!話題をすり替えるな!+とにかく飼育員は許さない!
MP7(2)指揮官||:許さなくてもいいけど……うちの会社は能力のある人形ほど変な癖があるんだよね。+君も、人形としても社員としても、優秀過ぎるから色々考えてしまうんだよ。考えるのは別に悪いことじゃないけど、変に思い詰めて拗ねるのは、優秀な人形がやるべきことじゃない。+優秀なプロなら、感情を挟まずにプロらしく自分の仕事をちゃんとこなすべきだよ。作戦は仕事だし、休息をとるのも仕事。
MP7(2)Gr MP7||:……
MP7(2)Gr MP7||:(でも、結局また話題を変えてるじゃん!)
MP7(2)指揮官||:そういえば、ちょうどMP7にしかできない仕事があるんだけど。
MP7(2)Gr MP7||:わ、私にしかできない仕事……?
MP7(2)指揮官||:ペルシカさんから、人形が高温高湿高塩分の環境下で作動するデータを収集して欲しいって……+今ここにいる人形たちでは……ほら、全員遊ぶことしか考えてないから、君に頼るしかないんだよ、MP7!
MP7(2)Gr MP7||:どうせもっとうまくやれるやつがいるでしょ!
MP7(2)指揮官||:(あらら……)
MP7(2)指揮官||:MP7はあの貢献ランキングがそんなに大事だと思うの?
MP7(2)Gr MP7||:もちろんよ!
MP7(2)指揮官||:自分の名前が二位にあるからずっと拗ねていて、海に来ても機嫌が治らないと?
MP7(2)Gr MP7||:私は天才なんだよ、二位なわけないじゃん……
MP7(2)指揮官||:じゃあ、ちょうど今【MP7マジ天才!貢献ランキングなんて絶対指揮官の間違い!】を証明できる任務があるんだけど、それもやらないつもりなの?+もしかして、私が机を整理しないから、MP7はもう私を許せないし、謝るチャンスもあげないと?
MP7(2)Gr MP7||:そうでもないけど……
MP7(2)||:指揮官はMP7の頭をわしゃわしゃと撫でた。
MP7(2)指揮官||:ほら、もういいでしょ。+ここで泳いでるところを見ててやるからさ。ここは海なんだぞ、どんな悩みでも忘れさせてくれる海なんだぞ!
MP7(2)Gr MP7||:飼育員がそういうのなら一応……
()||:MP7は何かごにょごにょ言いながら水の中に潜った。言葉の魔力のせいか、MP7の悩みは一部が碧い海の中へ消えた気がした。+少しだけ機嫌がよくなって、海から上がってそのことを指揮官に報告しようと思ったところ、指揮官の背中はすでに遠く向こうにあった。
MP7(2)Gr MP7||:バカ!バカ飼育員!こっちは飼育員のためにテータなんかを集めてやってるんだよ!+ちゃんと見てるって言ったくせに!もう知らない!
()||:そう言って、MP7はまた水の中に潜った。
()||:ブグブグ。
MP7(2)Gr MP7||:まぁでも、確かに飼育員の言う通り、こうして選ばれただけでも十分誇らしいことよね。
()||:ブグブグ。
MP7(2)Gr MP7||:でも私は……どうでもいいことで拗ねて……本当は実力が認められた証なのに……
()||:ブグブグ。
MP7(2)Gr MP7||:しかし自分から飼育員に謝るのも……いや!違う!また気が散る!
MP7(2)Gr MP7||:任務がある時はプロのように……目の前の任務だけを見る!
MP7(2)Gr MP7||:そうすれば……飼育員に直接謝らなくても……ちゃんと義理は返したってことよ!
()||:海の中でこっそり決心したMP7はゆらゆらと、浮き輪ごと波に岸辺まで流された。+どうやら彼女が海の中に潜ってる間、他のグリフィンの人形たちはビーチバレー大会を開くために集まっていたらしい。+しかしその集団とは別に、一人だけ離れたとこに座って、ただこの賑やかな光景を眺めているやつがいた。
MP7(2)Gr MP7||:あいつ……確かAA-12だっけ?+この間来たばかりの新人だった気がするけど……
AA12(2)||:ビーチパラソルを何本も使って自分を囲い込み、ビーチチェアにぐったりと倒れこんでる姿はあまりにも見苦しい。
MP7(2)Gr MP7||:飼育員から見た私も、あんな感じなのかもしれない……
()||:そう思い、MP7はAA-12に近づいていった。
MP7(2)Gr MP7||:おい!AA-12!
AA12(2)AA12||:……ん?
AA12(2)AA12||:(暑い……誰だよこいつ……)
MP7(2)Gr MP7||:(こいつ態度デカ……)
MP7(2)Gr MP7||:おい、こんなところで一人で何をしている?+せっかくの海が勿体ないと思わないのか?水着まで着たのなら一緒に泳ごうよ。
AA12(2)AA12||:……断る。
AA12(2)AA12||:(暑いし喋りたくないしこいつ面倒くさそう……)
MP7(2)Gr MP7||:はあ?断る?あんた誰の誘いを断ってるのか分かってるの?
AA12(2)AA12||:誰って……あんたでしょ?それがどうしたの?
MP7(2)Gr MP7||:……ああああんたね!+こっちは気を遣って誘ってあげてるんだよ、そんな言い方はないでしょ!+まぁ私みたいな天才には普通の友達なんてそんなにいらないけど、あんたみたいな人形だったら、友達がいないと寂しいのでしょ。
AA12(2)AA12||:じゃあ私のことはほっといていいよ。+お互い距離を置くのも、ある意味いい人間関係だと思うよ。
MP7(2)Gr MP7||:そういう話じゃないでしょ!あんただってこの旅行に選ばれたんでしょ!+だったら光栄に思いなさいよ!選ばれるのは優秀な人形だけなんだから!
AA12(2)AA12||:ちっ……ちゃんと話聞いてたのか?しかもなんであんたがこんなこと言うの?あんたも一人なんだろ?+こんな真面目ぶってキモいと思わないの?
MP7(2)Gr MP7||BGM_Empty:なんだって!新入りのくせに先輩になんてこと言うの……!+……ちょっ、待って、何をするつもり?!
AA12(2)AA12||BGM_BattleSelect:うるさい。
()||Gunkill:暗い表情のAA-12はビーチチェアの傍に置いてある銃を握り、MP7に向けてトリガーを引いた。
MP7(2)Gr MP7||Gunkill:えっ?!ま、待って!ちょっと待って!あんた正気?!
()||Gunkill:結果的に言うと、口喧嘩は銃撃戦になったというか、一方的な制圧射撃になった。MP7は必死に、散弾の雨の中から潜り出そうとしていた。
()||:その騒ぎは、指揮官すらも呼び寄せてしまった。
()指揮官||:何があったの?こんなに騒がしくして……
MP7(2)Gr MP7||:これは、その……ちょっと、ちょっと意見が合わなかっただけ!+大丈夫、本当に大丈夫だから!ここは私に任せて、飼育員!
MP7(2)指揮官||:意見が合わなかった……の?+なんで意見が合わないと海辺に大量の弾痕が発生するんだ……?
MP7(2)Gr MP7||:コミュニケーションよ!頑張ってコミュニケーションした結果なの!+とにかく飼育員、ここは大丈夫だから!ほら私らちゃんとしてるじゃない!
AA12(2)AA12||:……+うん、指揮官、これはただのコミュニケーション……でも意見はちょっと合っていない。
MP7(2)Gr MP7||:(こいつもちゃんと喋れるじゃない……)
MP7(2)指揮官||:まぁ、意見が合わなくても発砲しちゃダメだと思うけどね。+私とカリーナも仕事の時よくすれ違うことがあるけど、それでもちゃんと話し合えば解決できることでしょ?+お互いもっとゆっくり、自分の考えを言ってみなさい。
MP7(2)Gr MP7||:……はいはい、ちゃんとゆっくり話すから、飼育員も早く行って。
()||BGM_Empty:……+MP7はなんとか指揮官を追いやった。
MP7(2)Gr MP7||:ふぅ……これでなんとか……+というかあんたなんで急に――
AA12(2)AA12||:ゥオエェ……
AA12(2)||:AA-12は突然銃を下ろし、地面に跪いて苦しそうに息をした。それを見てMP7は非常に驚いた。
MP7(2)Gr MP7;AA12(2)||:ええええええ?!あんた大丈夫?急にどうしたの?!
MP7(2);AA12(2)AA12||:ウエェェェェ来ないで……私……
()||:またAA-12が銃を持って撃ってくるかもしれないと心配しつつも、MP7は息を呑んでAA-12に近づき、彼女をビーチチェアの上に引き戻した。
()||:吐き気と涙と鼻水が止まらないAA-12に、MP7は軽くその背中を叩いたり、タオルで顔を拭いてあげたりしたが、AA-12のおかしな反応は止むことがなかった。
MP7(2)Gr MP7||:(まさかどこか壊れちゃった?もしそうなら飼育員とG36に処理してもらわないと……)
MP7(2);AA12(2)AA12||:と、糖分……飴をくれ……気持ち悪い……
MP7(2)Gr MP7;AA12(2)||:飴?あ、あるよ!でも――
()||:MP7が話を終えるより早く、AA-12はその手の中にあるロリポップを奪って口の中に入れた。
MP7(2)Gr MP7||BGM_Moon:――でもしょっぱい味なんだけど……
()||:しかしどうやらAA-12はその後半の言葉を聞いておらず、MP7もただAA-12を見守ることしかできなかった。+暫くして、AA-12の咳と吐き気がだんだんと収まり、比較的に落ち着いてきた。
MP7(2)Gr MP7||:もう大丈夫?
MP7(2);AA12(2)AA12||:うん……ありがとう……助かった……
MP7(2)Gr MP7;AA12(2)||:……本当にビックリしたよ。+じゃあG36を呼んでくるね。+まったく、撃たれたのは私だっていうのに……
MP7(2);AA12(2)AA12||:……別にいい、あんたには関係ないから。
MP7(2)Gr MP7;AA12(2)||:私には関係ないって!?さっき――こうなってああなってたじゃん!
MP7(2);AA12(2)AA12||:私はただ……指揮官と真面目に話してる自分が……キモかっただけ。
MP7(2)Gr MP7;AA12(2)||:(真面目に話すとキモい?よくわからないけど……)+……私が悪かったよ。あんたもちゃんと警告したわけだし。
MP7(2);AA12(2)AA12||:私も……多分指揮官の言ったことは一理あると思う。+あと、ロリポップ一本……今度ちゃんと返すから。
MP7(2)Gr MP7;AA12(2)||:それは気にしなくていいよ、どうせしょっぱいやつじゃ口に合わないでしょ。
MP7(2);AA12(2)AA12||:まぁ……そんなに悪くはなかった。
MP7(2)||:それを聞いたMP7は一瞬固まって、そして笑い出した。
MP7(2)Gr MP7||:こんな私らみたいに一人でいるのが好きなやつでも意外と共通点があるんだね。それも悪くない。
MP7(2)Gr MP7||:他人の世話をするのも大変だね。飼育員の気持ちも少し分かった気がする。
MP7(2)Gr MP7||<黑屏1>:これはこれで……悪くない感じ。他人の世話をする飼育員になるのも。
()||<黑屏2>162:……
()||:少し離れたところにあるコートの上からその二人を見て、私は心の中でほっとした。
()指揮官||:うーん……あの二人は友達になったのか?意外なものだ。
()指揮官||:もし、戦闘貢献ランキングで彼女を二位に突き落とした元凶がすぐそこにいると知ったら、MP7は一体何を言うのだろうか?
()指揮官||:……やっぱり、この世界には知らない方がいいこともある、というわけか。
()||<黑屏1>: